京都村日記

【京都村取材記】vol.5 mixひとびとtango2014

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“ミクタン”の愛称で呼ばれる、「mixひとびとtango」。
6回目を迎えた今年は5月17〜19日・24〜26日の期間中に、京丹後市内の約40カ所で丹後の自然、食べもの、暮らしを活かしたさまざまなイベントが行われました。 今回取材させていただいたのは5月17〜18日の2日間。限られた時間の中でたくさんの人と出会い、おどろき、そして道に迷いながらも丹後をぐるぐるまわってきました!

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京丹後とは?
京丹後市は京都府北部、丹後半島に位置し、内陸部には標高400~600mの山々が連なっており、海と山に囲まれた自然豊かな土地です。平成16年4月、峰山・大宮・網野・丹後・弥栄・久美浜町が合併し、市制が始まりました。

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田植えのはじまり。

まずわれわれが向かったのは久美浜町金谷にある川上村。集合場所は企画者である山添さん宅の倉庫でした。「田んぼに水を張りすぎてもて、いま水の量を調節してるからちょっと待ってーな」とのことで、ひとまず机を囲んでメンバーの方たちとお喋りしながらのんびり待つことに。
1時間ほど経って、いざ田植え決行!素足を泥に入れてみるとじんわりと温かく、やわらやかい。泥に足をとられるので、一歩ずつ後ろへ下がっていくのもひと苦労。
手に持った苗の束から3〜4本の苗を取って、木枠の前後に植えていきます。手持ちの苗が無くなったら苗を投げて(!)もらうのですが、受け取りミスにはもれなく泥の跳ね返りが待っています!
植え終わったあとの田んぼを眺めると、ちょっとイビツに並んでいる苗たちも、自分たちが植えたんだなあと思うと愛らしく思えました。今までこんなふうに田んぼを眺めたことなかったなあ…。
手 足についた泥を山からの水で洗い流したら、みんなでお昼ご飯です。炊きたてごはんのおにぎりは、もちろんこの土地のお米。一粒一粒がおおきくて、あまい! 私たちが植えた苗もおいしいお米になって、おいしく食べてもらえたらいいなと思いつつ、次のイベント会場へ向かうのでした。

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イビツに並ぶかわいい苗たち。

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なんと最後にばっくり2つに割れてしまった木枠。修理する山添さん。

 

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ライブを楽しみながらの一杯。贅沢です。

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伊根町の海産物もふるまわれました。

実は今回の取材旅行ではこの竹野酒造さんでお泊まりさせていただくことになり、代わりにこの「蔵舞bar」のお手伝いをすることに。
昼過ぎに到着したときには皆さん準備で忙しそうにしながらも、和気あいあいとした雰囲気でした。
実際にイベントが始まってみると、想像以上のお客さんの多さと、目のまわる急がしさにビックリ!
来場された方々は地元の方はもちろん、遠方から来られている方、子ども連れの方や学生、おじいちゃんおばあちゃん、外国人の方もグループで来ていたりと、まさにmixひとびと!
おいしいお酒とおいしい食べ物、すてきな音楽が丹後の雄大な空のもとに集まり、こんな空間が楽しくないわけありません!
15時から始まり、終わったのは21時。実はここからスタッフの打ち上げが盛大に行われ、夜はふけていったのであります…。

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日が暮れるとまた違う雰囲気の会場。カエルの鳴き声が響き渡っていました。
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要予約のコース料理では、京都市内にある日本料理店の方が出張で本格料理を披露!

 

 

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握ったシャリにネタをのせていきます。

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地元の魚屋さん。どんどんさばいていきます。

昨夜は疲れきって泥のように眠りましたが、朝から楽しみなイベントが待っていたので6時には起きて身支度を整え、向かったのは弥栄町和田野。
待っていたのは今朝、日本海でとれたばかりの新鮮な魚たち。このイベントは、古代米入りのシャリを握り、旬のネタでお寿司を食べましょうという超贅沢な企画なのです!
用意されたのは白イカ、カワハギ、サバ、マダイ、トビウオ、マルゴ、ホウボウ。これらの魚を地元の魚屋さんが手際よくさばいていきます。私たちも下処理をお手伝い。みんなで準備すれば早く食べられる!という熱意が感じられました。
あっという間に約400貫ほどのにぎり寿司が完成。
みんなで食べる前にすこしだけ、今回使われた古代米についての説明がありました。
「今回は約1300年の歴史がある古代米の紅むすめ(赤米玄米)を、白米に少し混ぜて使っています。白米とまぜる ことによっておいしさが引き立つんです。」とのこと。
「白米のお寿司もおいしいけど、古代米のお寿司の方が好き!」という方もいらっしゃいました。
実際に食べてみると、古代米がまじった酢飯とお魚がよくあっていてビックリ!たくさんあったにぎり寿司は、ひとつ残らず綺麗に食べられました。

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さて、みんなでいただきます!

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出来上がったお寿司たち。ひとつひとつ違う表情。

 

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みんなで一列に並んで、田植えのはじまり。

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苗が植えられた田んぼには米ぬかを撒きます。

朝からお腹がいっぱいになり、次に向かったのは田植えです。2日連続で田植え体験なんてなかなかできるものではありません!
場所は弥栄町芋野。行ってみると地元の子供たちがたくさん集まっていました。
今回の田植えは朝にも食べた古代米7種を植えるというもの。芋野の赤米は約1300年前の奈良時代に平城京に納めたという記録が残っているそう。住民の皆さんで保存会をつくり、今も大切に受け継がれています。
田んぼの端から端までロープを渡して、ロープに打ってある点に合わせてみんなで一列ずつ植えていきます。
「週 明けに学校でも田植えすんねんけどなー」と言いつつ、大はしゃぎの子どもたち。どっさりの束を植えてしまった子には「ようけ束ねて植えたら味が落ちるんや でえ!3本ずつ数えて植えて!」という注意が飛んでいました。おいしいお米のために大事なことを学びながら植えていきます。
田植えが終わったらみんなでお昼ごはん。ばらずしや、赤米のポン菓子などがふるまわれました。
最後は古代米の記念碑の前で集合写真!秋の収穫が楽しみです。

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田植え後にみんなでお昼ごはん。

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最後に記念写真!

 

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五十河の古民家のひとつ。立派な茅葺き屋根です。

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談笑しながらよもぎ餅をつくります。

おやつ時に着いたのは、大宮町五十河(いかが)にある民家苑。ここにはダムに沈むはずだった古民家などが3軒移築されていて、現在では地元住民やNPO団体などが協力して管理し、農村体験ビジネスなどを行っています。
ちょっとした丘の頂上に昔ながらの茅葺き屋根の古民家が並んでいるので、まるでタイムスリップしたかのよう。
この古民家のひとつで、ミクタンにあわせてよもぎ餅づくりのイベントをしていらっしゃいました。
「生地をちょっと伸ばしてアンコをくるんで、手のひらで転がすの。簡単よ。」
おばあちゃんは慣れた手つきであっという間に丸めていきます。なんとか見よう見まねで自分たちで丸めたよもぎ餅を食べてみると、出来立てのよもぎ餅のおいしさと言ったら!
「やっぱりその場で作って食べてもらうのが一番やね。」
おいしいお茶もいただきながら、開放的な古民家でのんびりと一息…とっても癒された時間でした。

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古民家の土間にあるカマド。今でも現役で使われています。

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ひとつひとつ丁寧に丸められたよもぎ餅。ふわふわです。

 

 

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ちいさくてかわいい小学校。

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手づくり絵本教室のようす。

市立郷小学校。140年の歴史があるこの小学校は今年の3月に廃校になったばかり。
閉校した学校で「大人と子どもの登校日」と題して、「手づくり絵本教室」や「地球の『迷い方』」講座、身体ワークショップなどなど、学校では普段教わらない楽しい授業が繰り広げられていました。
また、同時開催の手づくり絵本展「アントキノキモチ〜絵本展〜」では、展示してある本の中から気に入った本を1冊ゆずり受けることが出来、ゆずり受けたひとのキモチを展示するという取り組みが行なわれていました。
廃校になって、学校としては使われなくなっても、これからまだまだ色んな使われ方の可能性があると感じさせられるイベントでした。

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ちいさなカフェ。手づくりのお店は段ボールでつくったそう。

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“アントキノキモチ”が展示してありました。

 

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丹後をめぐった2日間。とんでもない快晴に恵まれた取材となり、そのおかげで風景の写真を撮ると新緑の美しい緑と突き抜けるような青い空が味方してくれました。2日間の弾丸旅行となり、体力的に少しハードな今回の取材でしたが、各イベントで頂いた食べ物のおいしさに救われたことは言うまでもありません。何が一番おいしかったかと聞かれると困りますが、やはりお米がおいしいというのは、日本人の主食を押さえているという点でポイントが高い。そして日本海でとれた新鮮なお魚、おいしいお米で作ったおいしいお酒…などなど、おいしいものが山ほどあるので、やはり一番と言われると難しいワケです。しかもこれが秋になるとおいしいものがまたドカッと増えるのですから大変です。あえて言わせていただくなら、ひと仕事終えてからみんなで食べるごはん。これが一番おいしかったです。

文章:はやしりえこ/はしもとなつみ
イラスト:はやしりえこ
写真/レイアウト:はしもとなつみ

2014年7月

ご協力:mixひとびとtango2014に参加したみなさま
http://www.mixtango.com/

 


2014.07.16 / 京都村取材記