京都村日記

中丹ジビエフォーラムへ行ってはじめて知った、今のうちに知っておきたいジビエのこと。

みなさん、ジビエがブームになりつつあることをご存知でしたか?

2014年には、株式会社ぐるなび総研が選んだその年の世相を反映した料理「今年の一皿」として「ジビエ料理」が選ばれ、「ジビエ元年」として注目されました。

私たち京都村も、早くから農山村の資源であるシカ肉(=ジビエ)の活用に取り組んできましたが、当初と現在ではジビエに対する世間の認識も変わってきたことを実感しています。

そこで改めて、「ジビエってなに?」「どうしてジビエがブームになりつつあるのか気になる!」というジビエ初心者に必見だった「中丹ジビエフォーラム」に参加して勉強してきました!

当日のイベント内容を紹介しつつ、“今のうちに知っておきたいジビエのこと”をまとめてみました。

 

1.中丹ジビエフォーラムについて

2015年2月8日にホテルロイヤルヒル福知山&スパで行なわれた「中丹ジビエフォーラム」。150名の定員が一瞬で埋まってしまい、残念ながら参加できなかった方も多く、また、京都だけでなく他府県からの応募も多数あったそうで、ジビエの注目度の高さが伺えます。そしてなんといっても美味しいジビエ料理がいただけるのに参加費無料だったんです!次回開催も要チェックですね。

中丹ジビエフォーラム

主催:京都府中丹広域振興局

 

2.当日のプログラム

2-1.横山真弓氏による講演“食べて見直そう、森とシカの関係”

まずは日本におけるシカの専門家、横山氏による講演からスタート。あらゆる視点からシカによる獣害被害やシカ肉についての知識などをわかりやすく解説してくれました。

横山真弓横山真弓氏
兵庫県立大学准教授/獣医学博士
ニホンジカやツキノワグマなど人との軋轢がある野生動物種を対象に動物の行動等に関する研究に加え、ニホンジカの資源化に向けた衛生と疾病の監視体制、産業化に関する研究も行なっている。

 
特に興味深かったのが「どうしてシカ肉を食べる文化が日本では失われたのか?」というもの。
世界ではシカ肉を食べることが一般的な国が多く、もともと日本でも家畜の肉よりもシカやイノシシなどの獣肉が親しまれていました。ところが、森林資源に依存した生活スタイルを続けていた日本では、森林の禿げ山化が明治の中期ごろにピークを迎えます。森林の減少によりシカの個体数も減り、それによってシカを食べるという歴史が途切れてしまったのではないか、とのこと。

中丹ジビエフォーラム

そしていま、里山の過疎化によって山に人の手が入らず、天敵もいない(そして猟師不足の)環境で、大人のメスは年に1頭子どもを産んでいます。シカの数だけ増え続けた結果、山を食べ尽くして人里にまで降りて来るようになり、年間数十億円にもなる農作物などへの被害や山の地盤弱化が生じています。

 


2-2.ジビエの魅力についてのパネルトーク

続いては横山氏が司会となり、フレンチシェフの杉本氏、ジビエ猟師の垣内氏、ジビエ料理店オーナー西村氏による、パネルトーク。ジビエに関わるエキスパートたちがそれぞれの視点から語ったジビエエピソードは、「そうなんだ!」の連続で大盛り上がり!

パネルトーク

 

杉本 敬三杉本 敬三氏
フレンチレストラン ラ・フィネス(La FinS) オーナーシェフ/「ミシュランガイド東京 2015」で1つ星を獲得/日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」初代グランプリ
福知山市出身。19歳で渡仏し、12年間に及ぶ修業を経て帰国。2012年に東京・新橋にフレンチレストラン ラ・フィネス(La FinS)をオープン。

 

垣内 忠正垣内 忠正氏
京丹波自然工房(株式会社アートキューブ) 代表/ジビエ猟師
27歳のときに宝塚市から福知山市三和町へ移住。田舎暮らしをサポートする会社を立ち上げ、2013年には野生獣肉の食肉処理施設「京丹波自然工房」を設立。2014年には「KYOTO猟師教室」を開校するなど、趣味ではなく仕事ととして猟や食育を担う「ジビエ猟師」の育成に力を入れている。

 

西村 直子西村 直子氏
Nook’s kitchen オーナー
ニュージーランド、オーストラリアタスマニア島で、料理人や料理教室講師として12年間在住。2009年日本へ帰国し、鹿肉の商品開発や「四国ジビエグルメフェスタ」を企画。2014年にジビエ料理専門店「Nook’s kitchen(ヌックスキッチン)」をオープン。

 

 

2-3.ジビエ料理試食会

パネルトーク後は杉本シェフ、ホテルロイヤルヒル福知山の料理長によるジビエ料理の試食会。イノシシ肉のしゃぶしゃぶやシカ肉のワイン煮込みなどバラエティ豊かな内容で、みなさん笑顔で舌鼓を打っていらっしゃいました。(京都村事務局はこのあとの出演準備で食べられませんでした…)

食事風景

今回は一度に大量に用意できる煮込み料理がメインになっていましたが、焼くだけで十分においしいので機会があれば是非食べてみてほしい!との説明がありました。ジビエを扱っている料理店でも、素材の味がそのまま楽しめる料理のほうが人気があるんだとか。

シカ肉のしゃぶしゃぶシカ肉のワイン煮込み

 

3. 今のうちに知っておきたいジビエのこと3つ

さて、当日の模様を駆け足でご紹介したところで、今回のフォーラムでの内容をふまえ、今のうちに知っておきたいジビエ、特にシカ肉のことをここでまとめて紹介したいと思います!

 
3-1.ダイエットやアスリートにもオススメ!シカ肉は超ヘルシーでおいしい!

肉類の中でも特に、高たんぱく・低カロリー・鉄分豊富のシカ肉はダイエット中の方やアスリートの方にオススメのお肉なんです!インドではカラダを一番あたためるお肉だとも言われているそう。

でも獣肉特有のくさみが苦手…という方!きちんと処理されたシカ肉はくさみもほぼ無く、ほんとに美味しいんです!最近は日本でもシカ肉を扱う飲食店が増えており、日本独自のシカ肉の楽しみ方が今まさにつくられているところ。シカの生息地によって食べているものが違うので、地域によってシカ肉のおいしさも違いがあるそう。将来、いろんな地域のシカ肉がブランド化されて売り出されるかも…?!

 

3-2.魚と一緒?!シカだって、養殖モノより天然モノ!

私たちが魚を買うとき、同じ種類で同じ値段の養殖モノと天然モノの魚が並んでいたらどちらを買いたくなるでしょうか?やはり、天然モノを選ぶ方が多いのではないでしょうか?
極端な例えかもしれませんが、シカ肉も一緒で、養殖モノより天然モノの方が断然おいしいそう。この価値に世間が気づいたら今よりどんどん値上がりするかもしれません。
「天然モノが安く流通している今のうちに食べておいて、ジビエの知識を深めることをオススメします!」との杉本先生のお言葉が印象的でした。

 

3-3.野生動物のお肉は衛生面でキケン…?

兵庫県で行なわれたE型肝炎ウィルス抗体保有調査では、家畜のブタやイノシシよりもシカの方が格段に抗体保有率が低かったという調査結果になったそう。家畜のブタよりも野生のシカの方が保有率が低いなんて、意外な結果ですよね。もちろん全てのお肉に言えることですが感染する可能性はゼロではありませんので、生食は絶対避けて加熱処理が必要です!

E型肝炎ウィルスとは
E型肝炎ウィルス抗体保有調査

また、近年のジビエブームもあり、厚生労働省から「野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドライン」が策定されました。各都道府県ごとにこういったガイドラインがつくられていたのですが、とうとう国も動いた!ということで昨年話題になったんです。
「野生動物の衛生面は心配だから、以下のようにきちんと処理してね!」という内容なのですが、かなり具体的に狩猟方法などについての決まりが書いてあるので勉強になります。チェックしてみてください!

野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドライン

 

4. さいごに

今回のジビエフォーラムに参加して、獣害対策の利活用の視点で「奪った命を捨てるのはもったいない」という意識からもうワンステップ進んで、「おいしいから食べよう!」という状況になりつつあるんだな、と実感しました。

また「海の幸だけでなく、山の幸もおいしく食べよう!」という言葉がとても印象に残りました。「山の幸」といえば茸や竹の子が真っ先に思い浮かびますが、「山にはお肉もある」ということを皆さん忘れがちではないでしょうか?

そんな「山の幸」をちょっと試してみたいという方には、シカ肉をつかった肉まん「京都もみじ」をオススメします。美味しい&安全であることはさることながら、収益の一部が京都府の農山村再生に使われる京都村マークがついています。
農山村のおいしい「山の幸」を食べることが、農山村の支援になります。イベントなどで販売していますがネットからでもご購入いただけますので、ぜひ一度ご賞味ください!

京都村マークとは
京都もみじとは

 

 

5. おまけ「シカナイさん登場!」

実は試食会の終盤に特別ゲストとして我らがシカナイさんが登場!「かわいい〜!」というお声とたくさんのカメラが向けられ、テンションが上がり気味のシカナイさんでしたが、「京都もみじ」を宣伝するという任務をしっかり成し遂げました。

閉会後は出入り口で参加者の皆さんをお見送り。その際はたくさんの方と写真を撮っていただき、シカナイさんも楽しそうでした。

シカナイさん

今後もこういったイベントにどんどん参加していきたいと思っておりますので、お気軽にご連絡ください!

シカナイさんFacebook


2015.02.20 / 京都村取材記